米政府、 Federal Cloud Computing の RFQ
7月30日付けで発表されている米国連邦政府が公表した Federal Cloud の RFQ *1が非常に良くまとまっていて面白い。これは、政府が考えるクラウドの定義や特徴を5つのカテゴリー35項目+αで記載されていて、体裁的に各プロバイダーへの要求書となっているが、広範囲にわたるクラウドを理解するためには良い材料かと。
要件を読み進めていくとわかるが、RFQ の対象は IaaS ( Infrastracture as a Service ) にのみフォーカスが当たっており、SaaS、PaaSは含まれておらず、ユーザが IaaS 上でサービス利用するために必要な条件としてまとまっている。
ところで、クラウドの条件(定義)とは何か。この Federal Cloud では、NISTの定義が利用され、5つを特徴として挙げている。
- オンデマンドセルフサービス
- ユーザからの要求があった際に、プロバイダーの人的なオペレーションを必要とせず、必要なリソースを必要なだけ利用可能
- ユビキタスネットワークアクセス
- 様々な端末からアクセス可能なこと(携帯電話、PC、PDAなど)
- ロケーションに依存しないリソースプーリング
- マルチテナント型でリソースを共有し、ユーザの要求に応じて動的にアサインが可能。
- 柔軟な拡張性
- スケールアップ、スケールダウンが柔軟にできること
- 各種サービス
- 各種リソース(ストレージ、CPU,N/W帯域)に対するモニタリング、レポート機能を備えていること。
従来のホスティングと重複する部分もあるが、非常にシンプルで分かりやすい。
さらに、要件中で気になったのは、99.95%のSLAを要求していること。(加えて、1ヶ月のダウンタイムは1時間以内とし、障害の際には原因追求と問題解決をするという要件がある。)現在メジャーなクラウドプロバイダがSLAを保障していないケースが多い中でこの要件が示す意味は大きい。
また、N/Wに関してIPv6対応の文言が入っていることが興味深い。米国市場におけるIPv6を加速する要因になることも考えられる。
あとはコンプライアンスに関する部分に、 PCI DSS に関する記述は見当たらず。
この RFQ を読むだけで、苛烈な勢いでクラウド身辺が整理されていることが伺える。また、このクラウド構想は、政府予算のかなりの金額(半分近く?)が予算として割り当てられていることもあり、各ベンダに与える影響度は少なくはないかと。
というわけで、関係者の方は一読してみるのが良いのではないでしょうか。
*1:docファイルが直接開きます