帰国のご挨拶
この度、2月28日を持って日本へ帰任となりました。
2年前の2009年2月28日に渡米してちょうど二年。
同じ日に帰るというのもなんだか感慨深いですが、たくさん道に迷って、たくさん悩んで、前に進んだ2年間でした。
ここシリコンバレーというのはホント特殊な場所で、例えるならドラゴンボールの精神と時の部屋のようで、住んでいるだけで体力と精神がどんどん無くなっていくことを感じていました。
アメリカにいる間は、たぶん今後5年間は考えなくても良いんじゃないかというくらい、いろんなコトを考えていました。
あんなにも大変だったのに、苦しかったはずなのに、帰国が迫った今は楽しさと少しの寂しさしか思い出せません。
とても得難い、宝物のような2年間でした。
出会えたすべての人に、そして日本からサポートしてくれたみんなに。
ありがとう。またどこかで会いましょう。
アメリカのソーシャルメディアの使い方について
映画 The Social Networks(邦題ソーシャル・ネットワーク) を見ました。ボストンとシリコンバレーを舞台にしているこの映画には、見知った場面が随所に出てきて思わずニンマリとしてしまいました*1。映画の内容は面白かったのですが、内容についてはさておき、アメリカと日本のソーシャルメディアの使い方について、知り合いのアメリカ人達に聞いてみたことをまとめてみます。
1)SNSはお友達を見つけるツール
アメリカは広大です。小学校、中学校、高校、大学 etc..両親の仕事の都合で転勤したり、遠方の学校に転校することは珍しくないようです。そんなときに、Facebookのような多くの人が登録しているプラットフォームを使って昔の知り合い/友達を見つけるのだそうです。
日本ではニックネームを使う人が多いよ、と話してみたら、じゃあどうやって昔の友だちを探すんだい?と返されてしまいました。よくよく考えるとどうやって探すんだろう(^-^;;
2)オンネット/オフネットという概念がない
日本では、ネット上で知り合った人たちとオフ会と称して集まったりすることが多いですが、アメリカ人的にはオンネット/オフネットという概念がないようです。ビジネスとプライベートを分けずに、あくまでひとりの人間として活動しています。声をかける時には大抵の場合パーティーとして呼びかけます。バーベキューパーティーやら、ハロウィーンやら、ワインパーティーやら…、人が集まる場で新しい人と出会い、また輪が広がりという循環があります。
3)プライバシーについての考え方
Facebookやyoutubeなどには、実名、顔出しの写真、動画がたくさんアップされていて、日本ではありえないなぁと驚かされることが多いのですが(最近では結婚式をUStreamで中継する人もいるそうな…)、こちらの人はインターネット上に情報をアップすることを嫌がりません。日本だと、住所が突き止められてだとか、顔がバレるだとか色々と難色を示す人が多いようですが、聞いてみたところ以下の一言でバッサリ「自分でコントロールすれば良いのじゃない?」。この自分でコントロールというのは、自分が許容する範囲で、他人が映っているものには迷惑がかからない範囲で、アップロードすればよいのじゃない?ということのようです。その根底には、たくさん活動している人ほど魅力的だという感覚があるようで、自分の活動が何か新しい出会いを生み出すことを期待しているようです。
というわけで、まとまりないですが、こちらの人のソーシャルメディアの使い方を見ていると、インターネットは実生活を豊かにするツールという感覚を強くうけています。
映画 The Social Networks からも、この辺りの考え方が読み取れたりしますね。ということで、まだ未視聴の方はぜひ映画館に足を運んでみてはいかがでしょうか。
*1:1つだけ違和感があるシーンがありましたが、さてどこでしょうか?
英語で会話するために大切なこと
後学的に英語を現在進行形で身に着けているオイラにとって、英語での会話をより良いものにする3つの経験的法則が見つかったので記しておきます。
ずばり、
- 良く寝ること
- 朝ごはん食べること
- 体調を整えること
後学的に英語を身に着けているということは、ネイティブな人に比べボキャブラリーの数が圧倒的に少ないということなのですが、それを補うためには、自分が知っている単語を言い回すことで説明する必要があります。
一方、英語というのはレスポンスが非常に重要な言語だったりします。会話のテンポと言い換えてもいいかもしれません。話のテンポを保ちつつ自分が主張したいことや、質問を会話の中に織り交ぜていく必要があります。
しかし、英語での会話というのは日本語に比べてスピードが早く、少し気を許したとたんに、別の話に切り替わっているということも少なくありません。
英語に集中し、相手の言動を理解し、瞬発的な返答を返すために、上述した3つの事柄はどれも基本的ですが大切なことだったりします。逆に、いずれかができていない場合、注意散漫になる可能性が高いです。
こんなこと英語の教材には書いてないかもしれないですが、試してみると結構効果があったりするのでお勧めです。
スタンドバイミーのロケ地
5月末に映画「スタンドバイミー」のロケ地を訪れました。スタンドバイミーはかなり古い映画ですが、牧歌的な情景と12歳の少年達が線路の上を旅する、冒険的な映画に心惹かれた人も多いのではないでしょうか?僕も大好きな映画なのですが、調べてみるとほとんどがオレゴン州で撮られていたようです。
訪問した有名なシーンの撮影場所を3つご紹介します。
- Brownsville(ブラウンズ・ビル)
劇画中のキャッスルロックという町は、ブラウンズビルという場所で撮影されていたようです。
このブラウンズビルは、Portlandから100マイルほど南にあります。町中の人が、お互いの顔を全員知っているような、本当に小さな町。映画キャッスルロックの雰囲気そのままです。車で5分もあれば町中を1周できます。
リバー・フェニックスが、キーファー・サザーランドに倒されるシーン。
最後にキャッスルロックに戻ってくるシーン。この鉄橋を渡ればもうすぐ町です。
木の上の小屋のシーン。すでに小屋はすでに老朽化して撤去されていました。
街の中心にあるビジターセンター兼ミュージアムで地図をもらえます。
http://www.studiozero.net/oregon/castle.gif
- Cottage Grove(コテージグローブ)
ブラウンズビルからさらに下る事80マイルほど。 有名な線路の上を歩くシーンのほとんどが、このコテージグローブで撮影されたようです。線路は既に撤去されていますが、Trail(遊歩道)として散歩コースに生まれ変わっていました。
始まりのシーンは Mosby Creek Trailhead。
DVDのパッケージにもなっている湖のシーンはDorena Lake。
Cottage GroveのPublic Libraryでは下記URLに記載されているようなTrailの地図がもらえます。
http://www.cottagegrove.org/trail/
- McCloud Bridge
有名な列車に追いかけられるシーン。この場所は、英語のサイトでもほとんど情報がなく、探すのにとても苦労しました。また、このシーンだけカリフォルニアで撮影されていて、上述した2つの場所からかなり離れた場所にあるんですよね。
映画では、4人が写真手前から奥の方向に向かって渡ります。残念ながら、路線は廃線になってしまっていて、列車の姿を見る事は出来なくなってしまいましたが、見間違う事のない風景を眼前におさめる事が出来ます。
線路は撤去されており、橋の老朽化も進んでいますが、渡る事もできます。感動。
とても分かりにくい場所にあるので、参考にGooleMapのリンクを張っておきます。
大きな地図で見る
紹介したロケ地はいずれも距離が離れているため、車が必須。すべてを回るのは大変かもしれませんが、興味ある方は巡ってみてはいかがでしょうか。事前に Stand By me を見返しておく事を御勧めします。
日本とアメリカのITに関連する違い
日本とアメリカのITに関係するビジネスモデルやらなにやらが異なるおかげで、頭の中がモヤモヤしっぱなしなので、メモ代わりに書いておく。
- (1)SIerが居ない
僕は日本ではSI企業に勤めているのですが、その立場から感じる日米の一番大きな違い(そして一番の大きな悩み)はこれだと思う。
アメリカの企業はシステムの開発/導入/運用を基本的に自社内のエンジニアが行う。日本のようにSIerにアウトソースして、一切を任せるということはない。このため、米国のベンダー企業(Cisco,HP,Oracle,EMCなど)から直接機材を調達するという構図ができている。もちろんSIerが全くない訳ではなく、展示会などに行くと、システム構築をお手伝いする企業だとか、運用を請け負う企業だとかは見かけるのですが、彼らは、リソースが足りなく、スケジュールが厳しく、かつコスト対効果が見合うときにのみ声がかかるいわばピンチヒッター的な役割が多い様子。
内向で行うということは、システム構築にかかるコスト、人員、機材、スケジュールなどをコントロールすることができるということ。コストに見合った稼働率をあらかじめ考慮しつつシステム構築ができる。また、自社内にシステムを開発/構築/運用するノウハウは蓄積されていく。
- (2)パッケージ製品を利用する
米国では、SAPなどのERPツールや、Salesforce などCRM系ツールの導入率が高いようです。よく売れているパッケージ製品というのは、それなりにキチンと考えられて作られているので、導入/利用する事で生産性をあげる事ができるという本来の目的があったりします。
一方、日本は、パッケージ製品としてのこの辺りのツール導入率は低い。日本語への対応をしているかという問題でなく、日本企業の多くは自社の業務内容に合わせて独自に業務システムを作る傾向が強いため、パッケージ製品がそのまま利用される事は少ない。もちろんトヨタのような日本初の良いシステムもあると思いますが、日本企業は、局所的な改善は行うものの、自社の業務プロセスを重んじるあまり、全体最適化というアプローチがとれていないのではと感じる。
- (3)ITに対するリテラシーが高い
米国では、お年寄りから子供までPCを使いこなす。これは、学校教育中から宿題をメールで提出させるなどしている(もちろん地域や学区によって異なるとは思う)ので、自然とPCを使いこなすスキルが身に付いて行く。このため、ITに対する心理的な障壁は低く、パソコンを使って業務を行うということは彼らに取って何ら苦ではない。
- (4)ITの利活用が得意?
日本は、システムの大部分をSIerにアウトソースしているせいか、企業内の情報資産に対する対策/対応が弱体化しているように感じる。日本企業に勤める多くが、毎日遅くまで働いていてそれでも生産性が悪いのは意思決定プロセスがイマイチはっきりしない事に加えて、企業戦略を円滑に進めるためのIT利用ということができていないのも一つの要因としてあげられそう。
一方、米国で新しいサービスや製品がどんどんでてくるのは、(シリコンバレーが少し特殊な環境であるということを別にしても)IT資産を使いこなすことがウマいからではないか。BIツールなどが売れているのはこの辺りに起因するのかな。
クラウドコンピューティングの市場を見ていると、米国では普及期に移り変わって来ている印象があるのですが、上述した1〜4の要因がものすごく大きく関わっているのではないかと朧げながら感じています。日本はガラパゴス化とか言われて久しいですが、ものすごく特殊な市場なのだろうという思いは日々積もっていく今日この頃。
ワールドカップと英語
2010年ワールドカップは、スペインの優勝で幕を閉じました。
名シーンが多かった今回の大会では、終わった後に感じる一抹の寂しさも、いつもより幾分大きく感じています。
サッカー好きの僕にとってワールドカップ開幕中の一ヶ月というのは、ハイテンションが続く濃縮された期間であるのですが、今回、アメリカ国内ではESPN3がストリーミング放送をしてくれていたこともあり、数えてみれば40試合を観戦していました。
特に今回はシリコンバレーから見ることができたワールドカップということで、今後おそらくないであろう機会に感じた事を少し書いておきたいと思います。
- それなりに盛り上がっていたアメリカ国内
サッカー不毛の地と言われるアメリカですが、現地の人に聞いてみると、サッカーというスポーツは、アメリカで人気のある野球やバスケに比べて得点が入る事が少なく、盛り上がりに欠けるという意見のようです。今回、オフィスでは僕一人が盛り上がっているような状況だったのですが、少し外に出てみると以外にも多くの人をパブリックビューイングの会場などで見かけました。もちろん試合によって盛り上がり方はことなっていたのですが、よく観察してみると、シリコンバレーは移民が多く、多国籍な方々で構成されているため、色々な国を応援していた。というのが実情。
アメリカ代表を応援する人は少数かもしれませんが、最後のオランダースペイン戦まで実はそれなりに(局所的に)盛り上がりを見せていました。そんな歓声や、熱意の中にまみれてサッカー観戦できたのはすごく良い思い出。
- 英語上達のためのサッカー観戦とTwitterへの書き込み
僕はテレビを持っていないので、普段の生活の中でテレビを付けつつ英語を受動的に聞く、という機会はラジオ以外にはないのですが、ESPN3で40試合を聞いているうちに、サッカー用語や解説者の言葉が以外にもすんなりと聞けるようになっていたことに驚きました。また、今回、Twitterが特設サイトを設けていて、タイムラインを眺めているだけで、観戦者の様子が手に取るようにわかったこと。良さそうな表現をまねしつつ、僕自身も時折書き込んでみたり、結構臨場感を感じつつ、観戦を楽しんでいました。
40試合のうち、数試合はパブリックビューイングで見たのですが、その場にいる国籍もよくわからない何人かと会話して楽しむ事ができて、サッカーってほんと世界中で愛されているなぁと再確認したワールドカップでした。
大切な何かに挑戦して失敗してしまったあなたへ
そして、いつかこれを見るかもしれない、僕自身に。
「PKを外すことができるのは、PKを蹴る勇気を持った者だけだ」By ロベルト・バッジョ
日本代表、パラグアイと惜しくもPKで敗れましたが、ベスト16という結果でした。
世界強国に比べ身体能力や体格で劣っていると言われる日本が、今回の南アフリカワールドカップでセンセーショナルな活躍を見せた事は、僕を含めて、見ている人に何かしらの勇気をくれたように思います。
チャレンジし続ける事によって初めて与えられる、相応しい場。
例え、そこでミスしてしまったとしても、そこまで積み上げて来たプロセスは否定されるモノではないし、そこで終わりではない。
これから先のもっと素晴らしい場所へ、僕自身もたどり着きたいと思う。
ともあれ、日本代表のみなさん、ありがとう。そしてお疲れさまでした。
追記>
今日とあるカンファレンスに出席するために、後半終了時点で家を出て会場に向かったのですが、会場でもTV中継されていて、TVを囲んで色んな国の人が見ていました。延長前半途中から会場の輪の中で見ていたのですが、何よりも驚いたのは延長戦、PK戦と日本を応援してくれている人が多かったこと。特にPKでは日本が蹴る/守る一球ごとに歓喜、溜め息をしてたのが、スゴく嬉しかった。