冷たい校舎の時は止まる

冷たい校舎の時は止まる(上) (講談社文庫)冷たい校舎の時は止まる(下) (講談社文庫)

月刊マガジンでの連載を読んでいて気になったので出国前に成田空港で原作を購入したのですが、ようやく読み終わりました。

ミステリー小説としても、学園小説としてもかなり面白かった。

wikipediaからストーリーを引用すると

大学受験を控えた高3の冬、雪の中集まった8人の生徒たちは、無人の校舎に閉じ込められる。クラスの学級委員達8人以外の姿が見当たらぬ中、学園祭で自殺したクラスメイトの名を、どうしても思い出せないことに気付く。自殺したというクラスメイトがこの状況に関わっているのか。この8人のうち、1人が死んでいるのでは…? 疑心暗鬼はふくらみ、彼らは追いつめられていく。

迫る5時53分の恐怖と戦いつつも、過去の闇に立ち向かい、彼らは文化祭で自殺したクラスメートの名を探し続ける。

僕自身は進学校にいたわけではないので、受験を巡る葛藤やストレスというものを体験してはいないのですが、あの頃の誰もが抱えるであろう、人付き合い、他人との距離感、孤独感、家庭環境、自分自身、夢、そして恋愛といった学園物の要素はてんこもり。この世代の人間というのは非常に多くの要素の上にアンバランスに成り立っているということを思い出す。

それだけではなく、登場する8人のキャラクターがよく描かれていて、読み進めると、いろんな箇所で身の回りの事を思い出したりして。作中でそれぞれのキャラクターが回想するシーンでは、自分自身の過去であったり、友人、知人の姿を登場人物に投影しながら読むのも楽しかったです。また、まだ未成熟な自分自身を思い出して、成長の過程を懐かしく振りかえることができました。


物語が進むと、ある過程を経て一人ずつ姿を消して行くのですが、エンディングに向けて伏線が回収されて行く加速度と、謎が解けた時の爽快感はとても心地よいです。


ところで進学校の特徴なのでしょうか、学校のイベントで一致団結する姿っていうのには、いつもながら羨ましく思うのです。