タイムカプセルを空けるとき

トワイライト (文春文庫) Soul Station
重松清 トワイライト    Hank Mobley Soul Station

重松清を読んだのは本作品が初。

タイムカプセルという、キーワードが目に留まり、未来とか、将来とか、希望とかを連想し、そこに心の奥底をくすぐられ購入。

んが、本書を空けてみると苦い苦い(笑)

小学校の卒業記念に埋めたタイムカプセルを26年ぶりに掘り起こすところから始まるのですが、現実ってこんなものかと思わせるくらい、登場人物がメチャクチャ現実味を帯びています。

だたそこに描かれているのが単なる絶望ではなく現実としての生きる大人を描いているのがポイントかな。


しかし、タイムカプセルが持つ魔力というか魅力ってすごいなぁと思いました。

この世界では、一人の(多くの人の)人生って、時間軸上で繋がっているんだけれども、長いときを経て風化していく昔の記憶や情景を"そのまま、その場所にとどめておく"ができる不思議な道具がタイムカプセルだと思います。

カプセルを空けたときには、時間軸上の点と点が結ばり、空間的に時間軸を飛び越える力を持っているのではないでしょうか。

僕も小学校四年生の時に埋めたタイプカプセルを埋めたのですが、どうなっているのやら。

存在そのものを覚えているのは、おそらく覚えているのは僕くらいだと思うんだけど、確か20歳の自分に送るメッセージをクラス一同で書いたような気がします。(^-^;;

もう、20歳はとうに過ぎてしまっているのでこのまま誰も思い出さなければ未来永劫埋まっている気がします。(爆)

当時何を書いたかはもう覚えていないけれど、あの当時の自分が今の自分に対してのメッセージがそこにあると思うと、読んでみたいなぁ。

それを読んで失った物の多さと、大きさに直面するかもしれませんが。そこから生まれるものも、きっとあるハズ。

そんで、昔の自分から今の自分にバトンタッチされたメッセージを10年後、20年後の自分に伝えたいメッセージとしてまた、どこかに埋めたいな。

で、恒例のBGMですが、HankMobleyのSoulStation。
最近は、BLUE NOTEにはまってます。
といってもAmazonでたまたま目にとまって購入したCDなのですが(笑)
テナーサックスの低く明るい音が、知らない土地を冒険している感をかもし出して、暗くなってしまいがちな本書を不思議と足どり軽くして、印象深いものにしていました。